聖牛ナンディンに乗るシヴァ神とウマー

 
上村勝彦氏の「インド神話」によると、シヴァ神とその妻ウマーは、結婚後、諸方を遍歴し、最後には、
ガンダマーダナ山へ着き、楽しい日々を過ごしたとある。

このレリーフは、シヴァ神とウマーが、聖牛ナンディンに乗り、諸方を遍歴している図ではないかと思う。

聖牛ナンディンに乗るシヴァ神とウマーについて、マイケルフリーマン著の「遙かなるアンコール」(RIVER BOOKS)によると、ウマーマヘシュヴァラ(Umamahesvara)と呼ばれているらしい。


 遺跡: Banteay Srei / Gambodia



























Banteay Sreiのシヴァ神とウマー。ウマーの顔は無残にも削ぎ取られている。 



 遺跡: Prasat Khao Phra Viharn / Gambodia
























Prasat Khao Phra Viharnの第3塔門の内部の破風。
聖牛ナンディンは、獅子のように精悍に見える。
そして、ナンディンの大きさに比較して、シヴァ神、ウマー共に小さいが、高貴な人に差しかけられた傘のような木の下に、背筋を伸ばして坐している。
周りには、傘を差しかけている人々がいる。
また、大きな木は、山、森を象徴的に表しているのではないかと思う。
そして、大きな木の下の2本の大きな葉っぱを持つ枝の表現が、なんとも言えない。



 遺跡: Prasat Muang Tam / Buriram






















Prasat Muang Tamは、5基(前3基+後2基)の祠堂の内、前側の北側祠堂のまぐさ石。
ナンディン牛は、ずいぶん、ずんぐりとした体形だ。
ウマーのスカートと足は、平っべたく見える。
シヴァ神とウマーの後にも人がいる。



 遺跡: Prasat Phnom Rung / Buriram























この破風には、確かにシヴァ神と、ウマーがいたはずだ。
残念ながら、シヴァ神と、ウマーは、削り取られている。
こんな事をしたのは、誰だ。




 遺跡:  Prasat Kampaeng Yai / Sri Saket Up-dated

Prasat Kampaeng Yaiには、聖牛ナンディンに乗るシヴァ神と妻ウマーのレリーフが2ヵ所にある。
ひとつは、主祠堂の南面の破風、ひとつは、南側の経蔵のまぐさ石だ。


以下は、主祠堂の南面の破風。

 




ナンディンは、右向きで、シヴァ神の膝の上に、その妻ウマーが座っているが、その顔は無残にも削ぎ取られている。





以下は、南側の経蔵のまぐさ石。

 


















このまぐさ石は、まっ黒に変色している。
Banteay SreiやMuang Tamのウマーは、足を前に垂らしているが、このウマーは、シヴァ神の膝の上で、足を曲げて座っている。
ナンディン牛の背中には、まん丸のコブがある。タイの牛には、大きなコブのある種類の牛がいる。




同じ遺跡で、同じモチーフのレリーフでも、ナンディンやシヴァ神の顔、そして、雰囲気が全く異なる。
異なる時代に製作された物なのか?



 遺跡:  Prasat Puai Noi / Khon Kaen






























この破風にも、ウマーの顔が無い。
ウマーは、シヴァ神の膝の上に、べべちゃんこしているように見える。



 遺跡:  Prang Song Phi Nong / Prachinburi





















このまぐさ石は、中央で割れているが、ナンディン、シヴァ神とウマーは完ぺきに残っている。
ナンディン牛の顔は、まるでマンガに出てきそうな顔をしている。
シヴァ神とウマーの顔も、いかつく、朴訥な顔をしている。
そして、ウマーは、座っていると言うより、まっすぐ伸びている。

なんとも親しみを感じてしまうまぐさ石だ。



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